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執筆者の写真Masahiko Yamamoto

2019年サンタライダーズ・11回目のプレゼントは「夢と希望の未来」

更新日:2021年12月29日

2日早めのサンタたちがポートタワーに集結

クリスマスイブを2日後に控えた2019年12月22日、あわてんぼうのサンタクロースたちが千葉のポートタワーに大勢集まりました。

彼らこそが、一般社団法人Peacemakerが主催するサンタライダーズ。

単にサンタのコスプレで走る珍走団ではなく、様々な事情で家庭を離れて生活している児童養護施設の子どもたちの元を訪れ、プレゼントと共に楽しいひと時を提供する活動を続けているサンタたちです。

彼らの活動は今年で12年目。

「うちの施設を訪問先に」というオファーも増え、今年はいすみ市の児童養護施設のほかに乳児院、さらに、成田・旭市の児童福祉施設2カ所にも訪問し、合計74台のサンタライダーたちが、いくつかの班に分かれながら計4カ所の児童福祉施設を訪問しました。


千葉に集う「リアル」なサンタたち

Peacemakerは、地域振興のためのーツーリングや、災害被災地復興支援のためのツーリングなど、バイクによる社会貢献活動を行うために設立された一般社団法人。 特に児童福祉への思いは熱く、11月の児童虐待防止月間には、オレンジバイカーズツーリングを行い、今ではこれが千葉県・市の公式な児童虐待防止PR活動になっています。 2019年からはこの活動を房総半島全域に広げ、「千葉オレンジバイカーズラリー」として広範化。

「STOP!CHILD ABUSE!(児童虐待をやめろ!)」と書かれたオレンジのベストを着た総勢120名のバイカー(自転車も含む)たちが参加し、児童虐待啓発グッズを配布するなど、児童虐待防止のキャンペーンを行いながら地域との交流を深めました。

そんな風にこのサンタたちは、一時のサンタではなく、長期にわたって子どもたちの支援活動を行ってきた人たちの姿なのです。


夏のサンタはこう過ごす

最近では、クリスマスのサンタの格好で施設訪問をするライダー集団のニュースも全国のあちこちで聞かれるようになった来ましたね。

これはとても素晴らしいことです。

そんな中にあって、単にプレゼントをあげるだけではなく、子どもたちの未来を見据えて、子どもたちの横に並んで継続的な支援をしようというのがPeacemakerの児童福祉支援活動。

Peacemakerでは昨年(2019年)、新たに「サンタライダーサマーキャンプ」という活動を実施。

20名以上の施設の中高生を大多喜風の村キャンプ場に招待し、サンタライダー達はサンタの衣装を脱いで、キャンプを通じて子どもたちに寄り添う活動を行いました。

このキャンプはこの信頼関係の構築が大前提の就職支援活動。

日頃サンタは「バイク乗り」と、ひとくくりに言われているのですが、実はいろいろな職種の方が集まって「バイク乗り」と言われているわけです。

そこで、このキャンプの参加者募集では「子どもたちと一緒に過ごしてもらいながら、この子たちの就職先になってくれる個人・企業主の方はいませんか?」という一文を加えてました。

つまり、キャンプを通じて一緒に遊び、一緒に作業をし、一緒にご飯を食べて同じ星空の下で一晩を過ごす。

お互いの信頼関係を作り上げることができたなら、この子たちの就職先として未来の扉を開けてあげてほしいというのがこのキャンプの趣旨なのです。



実はこれを書いている私は、かつて11年ほど児童養護施設の職員として子どもたちの自立支援をしてきたので、施設の側としてもこれは本当にありがたい活動だと思います。


サンタたちへのBIGなプレゼント

Peacemakeの活動の前身となったのは、千葉・大多喜にあるカフェBIGONEのオーナー道家尚巳さんがお店のお客さんたちと始めた、ライダーの社会貢献活動。

12年目の2019年、毎年サンタにプレゼントをもらっていた子の中から、BIGONEに新しい女子社員が採用されました。

気立てが良く、明るくて素直なこの子は、今ではBIGONEのメインキャストとしてお客様にも大人気。

サンタライダーの申し子のようなこのBIGONEのスタッフは今年、バイクの後ろに乗り、卒業したホームへトナカイになって訪問したんです。


   出発前、代表の道家さんから参加メンバーに紹介される「新しいトナカイ」さん(写真右)


始めて数年間は、なかなか理解されずにバッシングを受けることすらあったサンタライダー活動。

回を重ね、今回は例年以上に沿道から手を振り返してくださる方も増え、地域に根付いた感も肌で感じられるまでになりました。


トナカイの彼女も、ちぎれんばかりに手を振ってくれています。

Peacemaker設立以前から彼らは「RUN FOR KIDS!」の信念を曲げることなく、ただただ純粋に子どもたちに笑顔を灯すために走り続け、この活動を守り育ててきました。

その歴史にとって、この新たなトナカイさんの登場は、ある意味サンタライダーの10年の集大成であり、活動を続けてきたサンタたちが受け取った、非常に大きなプレゼントだったと言えます。


タンデムシートから沿道からの応援に手を振るトナカイさん


11年目のプレゼント

今回のいすみ方面への訪問では、 書道家、筆絵画家 の北原きりんさん※も一緒に施設入り。 ※きりんさんについて、詳しくはきりんさんのお名前に貼ってあるリンクをご覧ください。



暖かな画風で知られる北原さん(写真左の女性)は、子たちと一緒に絵を描いて、目の前の子どもたちの笑顔が「天までとどくように」と願いを込めた作品を仕上げてくださいました。

一つの作品を一緒に作り上げたことに、子どもたちも大喜び。

私たちにとっても良い思い出になりました。


その後は恒例のプレゼントタイム。

しかし今年はこの光景がひと味違います。



トナカイさんも先輩サンタに混じって育った施設の子どもたちにお菓子を渡すわけですが、この場面を見た多くのサンタが目から滝のような汗を流していました。


児童福祉法での措置が切れ、18歳で自活を余儀なくされる施設入所児にとって、卒園後の未来は不安いっぱいの宇宙に等しい想像の世界。

子どもたちはこの時、お菓子やおもちゃなどをもらったわけですが、このトナカイさんからもらったのは、目に見えない特別なもの。

それは、卒園後も多くの大人たちに見守られながら、笑顔で暮らすことができるという夢と希望の未来。

彼女もまた「後に続けよ」という願いを込めながら、本当に大きなものを子どもたちにプレゼントしてくれていたのだと思います。


サンタは実は町中にいつもいる


こうして2019年、今回のサンタライダーは実に多くのドラマを残しながら終わりました。


この集合写真を撮ったのは、オレンジライダーズラリーでもお世話になっている大原漁港。

一行の訪問が終わってからこちらに伺った時から大粒の雨が降り始め、漁港の方の粋な計らいで、朝市の片付けが済んだ市場の屋根の下に入れていただきました。


漁港に素敵なサンタさんがいた


たこや伊勢海老、そのほかにもおいしい魚介類が自慢の大原漁港。

集合写真の撮影前、サンタたちはこちらの名物「タコライス」などをご相伴にあずかっていました。


私もついつい夢中になって食べていたのですが、そんな最中、地元の男性が私たちにこう声をかけてくださいました。 ※写真は成田組の食事風景です。


「私たちの町の施設に行ってきてくださったんですってね、寒い日の雨の中、事情ある子どもたちのために頑張ってくださって、本当にありがとうございました。これからも応援していますので、子どもたちをよろしくお願いします。」


笑顔で会釈しながらゆっくりと話されたこの男性の言葉に、私は思わずグッと目頭が熱くなり、夢中で食べていたその手が止まりました。


そのわけはこうで、実は私が勤めた施設は50年間神奈川の海老名という町にあって町の人々との関係も良好だったのですが、ある時ある町に移転することになったのです。

ところが、当初移転先の町では「施設が来る」という言葉が独り歩きをして、過剰な警戒感から地元自治会の移転反対にあった苦い経験をしました。


その後、私の施設が地元の理解を得てその地に根付き、安心して子どもたちが暮らせるようになるまでは、相当の時間を要しました。

ですので、この感動は、地元の方に施設の子どもたちがここまで見守られている環境があること、そして日ごろから地元の皆さんとの懸け橋になっている職員の方々のご苦労が心に刺さってのこと。


施設の子どもたちの笑顔と共に、暖かな街の言葉に気づかされたのは、実は多くのプレゼントをサンタになった私たちがすでに戴いていたという事実でした。


なのでもし、あなたのお子さんがまだお小さくて、「クリスマスが来るまで、サンタはどこで何をしているの?」と聞かれたのならこう言ってあげましょう。

サンタは実はいつも街のあちこちにいて、みんなで力を合わせながら、子どもたちが安心して暮らせるような未来が来るようにしてくれているんだよと。


こんな風に、多くの方々の共感を集めながら、千葉のサンタライダーはさらなる10年に向かって既に動き出しています。


私も毎年参加しているこの素晴らしい千葉のサンタライダー活動。


どうか皆様にもご賛同・ご協力を頂き、この活動へお力をお貸しください。

詳しくは一般社団法人Peacemakerまで。


文;広報部 山本

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