オレンジバイカーズは、「市民の目で虐待から子どもたちを守る」という児童虐待防止活動の基本指針にのっとりながら、オートバイの圧倒的な存在感を児童虐待防止のPRに活かして行う、ライダーたちによるソーシャルアクションです。
2016年から千葉県の後援事業として行われてきたこの活動。
8年目を迎えた今回は、開催を11月3日(祝)と11月5日(日)の2回に分け、いすみ市、大多喜町、そして千葉市の2市1町で児童虐待防止啓もう活動を行いました。
オレンジバイカーズの”ふるさと”へ
今年のオレンジバイカーズのファーストステージは、11月3日(祝)のいすみ市運動公園。
今回は、こちらで行われた「第8回いすみふるさと祭り」に、千葉・宮城の両スタッフ20名でお邪魔しました。
このお祭り(会場)は、初期のオレンジバイカーズの啓もう活動で必ず訪れていた場所。
今や宮城でも行わるようになったこの活動ですが、いすみふるさと祭りはその基礎が築かれた場所であり、オレンジバイカーズにとっていわば”ふるさと”とも言える場所なのです。
いすみ市は児童虐待防止への取り組みが盛んな地域。
式典でいすみ市の太田 洋市長は、「児童虐待防止へ積極的に市民の理解と協力を求ながら、地域ぐるみで見守る子どもに優しいまちづくりを続けていく」と挨拶。ピースメーカー代表理事の道家尚巳も市の子育て支援課や社会福祉協議会の方々と共に挨拶に立ち、オレンジバイカーズの活動を紹介しながら、、児童虐待緊急通報番号189(いちはやく)の活用を呼びかけました。
さらに、児童虐待緊急通報番号189(イチハヤク)の利用促進に向けて応募された標語では、国吉中学校の末吉亜美さんが最優秀賞を獲得。太田市長より表彰が行われ、私たちも一緒に記念撮影に納まりました。
このイベントは農漁商を合わせた市内最大のお祭りで、この日も多くの市民や観光客で大変な賑わいです。
そんな中でも、私たちの声掛けに足を止めてくださり、パンフレットに目を通しながら、じっくりと我々の話に耳を傾けてくださる方も少なくないのが嬉しい反応。
このように「伝わる感覚」を実感しながら活動できたことは、私たちにとって大変義深い「原点回帰」となりました。
市民の方々の関心の深さは、定期的なオレンジリボンキャンペーンに力を入れる市の姿勢の表れだと言えるでしょう。
11月5日(日)は千葉県庁からスタート
各地からライダー続々と
セカンドステージとなるこの日は、昨年と同じく千葉県庁スタート。
ここから大原漁港→山の駅喜楽里(きらり)を経て千葉ポートタワーまでを巡ります。
千葉県庁で行われた出発式には、県の内外から60人のライダーが集結。
9月に行われた宮城オレンジバイカーズの参加ライダーもはるばる宮城から参加してくれていて、なんとも有難い限りです。
開会式
開会宣言では、一般社団法人Peacemake 理事 斎藤 芳己の開会宣言に続き、
県の関係部局や児童福祉施設の団体の方々等ご来賓のごあいさつがありました。
一般社団法人Peacemaker
理事 斎藤 芳己
皆さん、早朝からありがとうございます。
安全運転で一日頑張ってください。
千葉県 健康福祉部 こども家庭対策監
尾関 範子(おぜきのりこ)氏
日頃から児童福祉へのご理解ご協力をありがとうございます
189を県内広域に広報するこの活動によって、県民の皆様に児童虐待防止への関心を深めていくことを祈念しています。
千葉県児童福祉施設協議会
会長 本間 敏子(ほんまとしこ)氏
先日も、ピースメーカーの皆さんは宮城の方で児童虐待防止活動をしていただきました。こうしてオレンジの輪を全国に広めていただきたいなと思っており、我々も皆さんのそうした活力から力をもらっています。この後も安全運転で周っていただいて、最後のポートタワーではオレンジ色の光を灯して欲しいと思いますので、よろしくお願いいたします。毎回ありがとうございます。
一般社団法人Peacemaker
代表理事 道家 尚巳(どうけ なおみ)
いよいよ11月です。今年は既に9月、宮城で2度目になるオレンジバイカーズを行い、市民の方々の反応もよく、手ごたえをいただいたところです。
準備からこの様子を見ていてやはり、社会のために何かをするには、熱意というものが肝心なんだなと改めて実感しました。この熱意を絶やさず、189(いちはやく)を広めていきましょう!
そしてこの後は、参加者の気持ちを一つにする恒例の「RUN FOR KIDS!」。
今回は一般社団法人Peacemaker宮城支部の支部長 鬼澤脩平の音頭で、全員で空にこぶしを突き上げ「RUN FOR KIDS!」を唱和。
こうして、いよいよ8年目のオレンジバイカーズ千葉が、子どもたちのために走り出しました。
千葉県庁~いすみ市港の朝市へ
千葉県庁を出発したライダーたちは、いすみ市にある大原漁港へ。
タコや伊勢海老をはじめ、新鮮な魚介が豊富な大原漁港。
当日は「みなとの朝市」が開かれていており、大原漁港は、県内外からのお客様で大賑わいです。
昼には店じまいする「朝市」なので、港には10:30に到着予定。
道中は連休最終日の渋滞に焦りを感じた一幕もありましたが、何とか予定時刻に全員到着できました。
駐輪場にバイクを止めるとすぐに、ライダーたちは朝市に来場中の方々に啓もう活動を開始。場内をお買い回り中の方々や、港の味でくつろがれている方などに声をかけていきます。
今回は地元の県立大原高校の生徒さんも協力してくれました。
彼らにとって、こうしたソーシャルアクションに参加して街の反応をリアルに感じたのは新鮮な体験だったようで、初々しくもさわやかな笑顔が、啓もう訴求の力になりました。
大原漁港は、前章の公園と同じいすみ市内の漁港。
ここでもやはり、
歩みを緩めてじっくりと配布したパンフレットに目を通す人。
自らスタッフのもとに「パンフレットをください」とご所望に来られる方。
「へぇ189だって」初めての興味を示される方。
ここでもやはり、「伝わる感じ」を実感しながら市民の方々と目を合わせた活動ができ、非常に大きな手ごたえを感じることができました。
ツーリングは楽しくなくちゃ
オレンジバイカーズは社会奉仕を主体とするツーリング。
啓もう活動も一区切り。休憩時間にはライダーたちも朝市の味を楽しみました。
活動の中で、このように土地の味に触れられるのもツーリングの醍醐味。
児童虐待防止と同時に地域経済に貢献することも、私たちオレンジバイカーズのミッションの一つです。
お腹も満ちて、朝市の出店者の皆さんがあと片づけに忙しくなる正午過ぎ、オレンジバイカーズもこの地での活動を済ませ、養老渓谷にある「山の駅 喜楽里(きらり)」へと出発しました。
山の駅喜楽里へ
喜楽里のある大多喜町は、バイクツーリングを地元観光の要として位置付けている「バイクに優しい街」。
喜楽里はそのキーステーションとしての役割を担い、養老渓谷の「山の駅」として、日頃から多くのライダーとへの観光客でにぎわう場所です。
こちらにはなんと、大多喜の 平林 昇 町長がご来場。
「バイクに優しい町大多喜にこうして社会貢献を目的としてバイクが集まって、活動してくれることを心から感謝します。」と挨拶をされ、 啓もう活動の約1時間半、最後までライダーたちを見守っておられました。
実はこうしてこの場に町長がお見えになるのは、昨年に続いて2回目。
言葉に偽りなく、ライダーファーストの街づくりを真剣に取り組まれる姿勢に感謝しています。
ここでは早々に啓もうパンフレットを配り終えたので、少し長めの時間調整をすることに。追うしてここでのミッションを終え、オレンジバイカーズは各々マイペースに、本日最後の活動地、千葉ポートタワーへと向かいました。
千葉ポートタワーにオレンジの灯を
喜楽理まではマスツーリング(集団走行)でしたが、千葉ポートタワーへの道が複数あること、到着時間頃の周辺の渋滞なども考慮して、ここから先は参加者ごとマイペースなソロ走行に。
どのルートを辿っても、おおよそ2時間。
オレンジビブスを身に着けたライダーたちは「STOP CHILD ABUSE!」の文字を背に、千葉ポートタワーへ向けて各々の道を征きます。
千葉ポートタワーに到着
ポートタワーは日ごろ家族連れなどで賑わうランドマーク的なスポット。
今回はこちらが最後の活動場所となります。
この日のポートタワーは人でもまばら。
それでも道行く人に声をかけながら啓もうを行いました。
品を配り終えたところで、本日の活動は終了。
この後は夕暮れを迎える中、閉会式へと移ります。
夕刻の閉会式
閉会式では千葉市子ども未来局、そして千葉県児童福祉施設協議会の方々より、ご挨拶をいただきました。
千葉市子ども未来局長 宍倉和美氏
県内2カ所140㎞以上に及んだ今回の走行の中で、市民に対して広域な児童虐待啓発活動が行われたことに感謝申し上げます。 児童虐待根絶にはやはり、市民の周知が欠かせなません。今後も子どもたちへの深い愛情と、強い信念をもって今後もこの活動を続けていただきたいと思います。
千葉県児童福祉施設協議会 副会長 石井 芳人氏
オレンジバイカー活動は、今も声を上げられずに虐待に耐えている子どもたちの声に気づく、そのための活動になっていると思います。全国の児童相談所が扱う児童虐待の件数が、過去を上回る記録を更新し続けている一方で、虐待死の件数が減少を見たことは、こうした啓もう活動を始め、多くの人々の努力、そして多くの「気づき」の賜物だと感じています。
この後の点灯式でポートタワーを染めるオレンジの灯が、子どもたちの未来の希望の光になることを願っています。
主催者挨拶 代表理事 道家尚巳
朝から一日皆さんありがとうございました。今日の走行で約2,500部の啓もうパンフレットを全数配布することができました。皆さんの姿を見ながら、まだまだ活動の熱量は落ちていないなと実感したところです。この後ポートタワーがオレンジに染まりますので、「#児童虐待をやめろ」等ハッシュタグをつけてSNS等でタワーがこの色になる意味を拡散してください。
いよいよ「オレンジタワー」点灯式へ
この後はいよいよ、千葉ポートタワーをオレンジ色に染める「オレンジタワー」の点灯式。
点灯時刻の17時を、カウントダウンで迎える……
はずでしたが。
10・9・8・7…なんとカウントダウン中にまさかの点灯。
「エええっ!!?」と声を上げながら笑うライダーたち。
でもその灯りは、
例年にも増して、よりも鮮やかなオレンジの光を放っていました。
オレンジの灯は宮城でも
未だ明るみに出ることなくひっそりと行われている虐待。
千葉県児童福祉施設協議会 副会長 石井 芳人氏がご挨拶された通り、このオレンジの灯は、多くの市民に興味関心を抱いて、その闇に明かりをさし向けようとする灯りです。
時を同じくして、遠く離れた宮城県仙台市でも、仙台市では市内中心部の大年寺山に建つ放送塔がオレンジ色に灯されました。
こちらは、仙台のランドマークとして地元の人々から親しまれている株式会社仙台放送さまの「仙台スカイキャンドル」。
9月のオレンジバイカーズ宮城に引き続き、11月もこの塔をオレンジに染め、市民に児童虐待防止への関心を呼び掛けてくださいました。
知ってください、児童虐待の今
千葉県児童福祉施設協議会の石井氏が話された通り、児童相談所が扱った児童虐待に関する最新の速報値は、219,170件と令和4年度においてもワースト記録を更新し、その勢いは留まるところを知りません。
※参照元;こども家庭庁
映画『ラブ・ミー』製作への協力
皆さんは『ラブ・ミー』という映画をご存知でしょうか?
これは、インディーズ作品を多く手掛ける野火 明(のび・あきら)監督による作品で、
千葉県我孫子市で発生した虐待死事件をモチーフにした長編映画です。
この作品の製作にかかる費用は文化庁からの助成金のほか、多くがクラウドファンディングを募って賄われました。
実は、クラウドファンディングに私たち一般社団法人Peacemakerも協力し、エンドロールに法人名をクレジットしていただきました。
ただ、それが私たちの目的ではありません。
映画を通して知っていただきたいのは、
この作品には「完全なフィクションではない」ということ。
今も週に1人の割合いで、子どもが近親者からの虐待で命を落としていること。
1人でも多くの方が、児童虐待防止に関心を持つことで、失われずに済む命があるということ。
映画の中で起きることには救いがなく、視聴には多少の勇気が必要にものでした。
しかし、多くの方々にこの作品を通じて、「児童虐待」が身近にあるということは、具体的にどのようなものなのか…?をお考えいただき、是非189(イチハヤク)の意味をさらに深めていただくことを伝えるために、私たちはこの映画に協力しました。
189(イチハヤク)の力
さて、ここで一つの資料をお目にかけましょう。
これは、1年の間に虐待によって亡くなる子どもの数を示したものです。
注目は画面右下。
ここ1年の虐待死が減少に転じたのをご確認いただけますでしょうか。
※参照元;こども家庭庁
つまり、多くの方が児童虐待緊急通報ダイアル「189(いちはやく)」を知って利用したことで、児童相談所への相談数が増加し、結果として秘匿されていた児童虐待の発見、虐待死の減少につながったものと考えることもできるのです。
とはいえ、これはまだまだ微小な減少。
数値に出ているのはあくまでも、「相談に至ったケースの数」であり、この数字に載ることなく行われている児童虐待が、今この瞬間もあなたの住む町の中で起きています。
だからこそ児童虐待防止には、多くの市民の関心が高まること、そして189の利用促進が必要なのです。
私たち一般社団法人Peacemakerは今後も多くのライダーたちと共に、児童虐待の無い未来を目指して走ってまいります。
RUN FOR KIDS! すべては子どもたちのために。
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