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執筆者の写真Peacemaker公報部会

君に見せたい景色がある~2023年

まだ、この国にもかろうじて四季があったあの頃、真夏の都会の暑さを避け、涼を求めて、毎年訪れていたツーリング。「渋峠~戸隠高原」を走り抜け、白馬から南下する、いわゆる長野ツーリング。いつもの安曇野の宿で仲間たちと食事をしながら語り合うとき、私はいつも同じ話を話しを繰り替えしていた。

「いつかみんなを連れて行きたいところがあるんだ・・・。」 「いつか一緒に走りたい場所があるんだ・・・。」 「上手く表現できないけど・・・ 海と空の境界がわからくなるような圧倒的な青、そして新緑とコバルトブルーの海がその視界や心にいっぺんに飛び込んでくるような・・・そんな場所なんだ!」 (旧)The real bikers cafe Club BIGONE 四街道店」に集まる仲間たちと、関東のバイク乗りの聖地ともいえるビーナスラインや長野を走るたびに、そう言いながら、いつかは実現したい、いつかは行ってみたいね・・・そんな、「いつか」という、とてもアバウトな約束を重ねた。 だが・・・その「いつか」連れて行きたい、いつか行ってみたい、その場所はある日突然、 「未曽有の被災地」となった。

 

「えっ!?復興って?進んでるの??」 1997年~2000年・・・。 筆者は、仕事で約2年間、宮城県の仙南エリアとよばれる「大河原町」という町に単身赴任で暮らしていた。慣れない土地、知り合いもいない土地、唯一の休日の過ごし方は、地元から連れて来た愛車(バイク)で石巻牡鹿半島や蔵王を走ってリフレッシュすることでした・・・そう、私にとっては単身赴任の寂しさや不安を拭ってくれたのが石巻の海と蔵王近隣の山々の風景。 2013年6月・・・・。 その年の3月、5年間、苦労をしながらも守り続けた「みんなの居場所」でもあるバイカーズカフェを都市開発という開発行為との諸問題で休業した。ある意味、毎日バイクに囲まれて生活していた私にとっては、まさに心にぽっかり穴の開いたようなそんな気持ちを拭えない毎日、そんな折に、たまたま仕事で訪れた数年ぶりの「第二の心のふるさと宮城県」 そこに広がっていたのは・・・。 津波でひっくり返った堤防が未だそのままで残り、瓦礫が撤去されただけで手つかずの住宅があったであろう場所、高く積み上げられた「かさ上げ工事」だけが広がる、この町の過去の人々の生活の面影もない石巻~南三陸町の海岸線、そして、建築用の仮設ハウスの住居と、そこに軒先を作っただけのようなお店やコンビニが並んでいた・・・国道45号線沿いの港町。 かつて民家が立ち並んでいた住み慣れたその町から近い海沿いの漁師町には、民家の基礎がまるで墓標のように並んでいて砂埃を巻き上げながら大型ダンプカーがひっきりなしに行き交いする。 「震災から2年以上が経過して、もっと復興は進んでいると思っていた」 「阪神淡路大震災と同じで2年くらいで復興は達成すると思っていた」 そう、関東で暮らす私たちにとっては、想像とまるで違う目の前に広がる光景が本当にショックであり・・ どうなってんだ??復興は??まだ!?こんな感じなの? そんな行き場のない不安や不信感、そんな複雑な思いにとらわれた。 みんなといつか一緒に走ろうと言っていたあの場所は、その入口の遥か手前から「全面通行止め」の標識と看板がいたるところに掲げられ、それが、ある意味、ここへみんなをいつか連れて来たいと思いながら、ぽっかり心に穴の開いた私には「絶望」という文字に見えた。 「なんか出来ねぇ~のか?」・・・なんの根拠もなく心のどっかがそうつぶやく。

 

復活したよ!あの場所が走れるようになったよ! 翌年、2014年、数年ぶりに「その場所」を個人的に訪問した・・・震災をきっかけに知り合えた石巻の知人から「お待たせ!ようやく!!やっと!復活しましたよ!!」そんな連絡を頂いた。宮城在住でも宮城県人でもないのになんだか本当に嬉しかった。 みんなと一緒に走りたかったその場所は、東日本大震災の影響で道路のところどころが崩壊、道は寸断され、長い間通行止めが続いていました、震災から3年を経て、2014年4月にようやく全面開通。 その報告を頂き迷わず同年5月に数十年ぶりのあの場所を目指してバイクを走らせた。 目の前に広がるあの頃と変わらぬ美しい光景と奇麗になった道、それとは逆に、未だ残る瓦礫と化した堤防、そしてなくなってしまった海水浴場。防潮堤で道から見えなくなった海。

数十年ぶりに訪れたその場所は、あのころと変わらず美しく素晴らしい景色、でもまだ道はところどころ工事が行われており、かつてバイクで走りながら見えていた、港から見える美しい海は防潮堤の工事で重機が入り、城壁のように一部出来上がった防潮堤はその海をすっかり隠すように高く高く「あの頃の景色と思い出」を遮っていました。 長野のコテージで、酒の席で、ツーリングの途中で、そう、あの頃 「君に見せたい景色がある」 その思いは、単純に東北独特のリアス式の半島が織りなす美しい風景を見せてあげたいそんな単純な思いだったはず・・。 2016年6月、 バイク乗りに囲まれる、そんな憩いの場(現Cafe Club BIGONE 大多喜店)を復活することが出来た、そしてあの頃、実現しなかった「君に見せたい景色がある」を、今度こそ、あの頃約束を果たせなかったみんなに見せたいと決意した。 東北のバイク乗りたちの聖地でもある、この場所は長い月日をかけて復活したが、震災から5年も経過したのに東日本大震災の爪痕を克明に残し、簡単には進まない復興という現実を誰が見てもわかる姿で残している、 2016年「君に見せたい景色がある」の、見せたい、見てもらいたい景色には「風景」や「景色」「ワイディング」だけではなく、震災を経て少しづつだけど復興へ向かうその歩みという項目を一つ付け加えた、 そして、さらには震災からあの大災害を経てここまで立ち直っていく東北の人々の気高い心意気と多くの支援を受けながら育んだ 「人と人のつながりで生まれる喜び」 そんなことまでがこのツーリングに参加される人にほんの少しで良いから感じて頂きたい要素となって実現する事になりました。 2023石巻復興支援ツーリングVol.2へ

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