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14年目の絆  サンタライダーズを開催

更新日:2022年12月29日

サンタだって行きたいけれど終始一貫、子どもたちのために

 2009年から欠かすことなく千葉県内の児童養護施設に訪問し、子どもたちと交流してきた「サンタライダーズ」の活動。


 最近ではクリスマスに「サンタコス」または「サンタツー」と称して、サンタクロースの格好で走るイベントがバイク誌にも紹介され、日本各地で賑わいを見せているようではありますが、私たちの目的はコスプレではありません。


 私たちの合言葉は「RUN for KIDS!」


 本当のサンタになりきって、児童養護施設に暮らす子どもたちに笑顔のひと時を届けるのが私たちの活動です。


2020年の活動風景↑


私たちの使命

 児童養護施設で暮らすのは、児童虐待をはじめ、様々な理由で各々の家で暮らすことができなくなった子どもたち。

 彼らのなかには、実の親の胸の中で慈しまれた経験を持たない子も少なくありません。

 指導員さんや保育士さんたちが懸命に真心を注いでいるのですが、一般の家庭の親子の時間とは違い、大勢の子どもたちと暮らす中ではその愛を独占できる時間も短く順番待ちになりがち。

 なので、子どもたちがいつも熱望しているのは、いつもきまって来てくれて、必ず自分を受容してくれる大人の存在なのです。


 『大勢のサンタの中で気に入ったサンタを見つけたら、普段職員の人には言えない本音を聞いてもらえる。』

 そんな風に楽しみにしている子どもの話を、その目の高さに目線を合わせて傾聴する。

そんな形でサンタクロースと過ごせる時間をプレゼントするのが、サンタたちの役割なのです。


子どもたちに一番いいことを

 14回目を迎えた今回は、12月11日(日)と12月18日(日)の2回に分けて、例年の千葉(いすみ市、成田市、朝日町)での活動に加え、埼玉で同様の活動を続けてきたライダーたちと一緒に、本庄児玉市にある児童養護施設への訪問も行いました。


 今回はこれまで以上に、

l 私たちが何をすると子どもたちが一番助かるんだろうか?

l 施設職員の方々が子どもたちの生活をリードされる中で、何をして差し上げるのがベストな支援なのか?

と、『子どもたちにとっての一番って何だろう?』について考えた開催。

 何をどう考えたのか?

それは終盤にお話することとして、まずは今回の活動の様子についてお伝えしていこうと思います。


児玉の子ども、こだまする歓声 ~サンタライダーズ埼玉を開催~

 サンタのライダー達が埼玉を走るのは今年で3年目。

今回の埼玉サンタライダーズは「卒園生として恩返しがしたい」という施設出身のメンバーの夢を形にするために、Peacemakerが活動を支援する形で実施されたものです。


 12月11日7時30分、関越道下り三芳PAに少し早めのサンタクロースたちが集合。

 出発前の全体ミーティングの中で、施設に赴く心得などを確認し、いよいよ子どもたちのもとへ出発です。

 花園ICから約1時間半、道の駅おかべでは更に原付2種で参加するメンバーと合流。

今回は少数精鋭、12名11台での埼玉サンタライダーズになりました。



 優しいきもちをバイクに載せて、いよいよ本庄児玉市にあるの施設に到着です。


 私たちの訪問は事前に子どもたちに知らされていたようで、施設に着くと子どもたちが笑顔で出迎えてくれました。


 早速子どもたちにご挨拶。

 プライバシーの関係で表情をお伝えすることはできませんが、サンタたちに注がれるまなざしは輝いていて、みんなとっても嬉しそうです。


 こうして、感染対策に留意しながら子どもたちとの交流がスタート。

 遊ぶ子どもたちの表情はにこやかながらどこか真剣。

 みんなは我々の中から自分と仲良くしてくれるサンタを探しだして、少しでも長く独占していたいんです。


 そんな時、コミュニケーションツールとなるのがバイクの良いところ。

ちょっと引っ込み思案な子でも、「あ、このバイクカッコいい、乗ってもいい?」と、自然にサンタとお話がしやすくなります。

 興味津々だったのはバイクだったのか、サンタだったのか?(笑)

リアルな心の通い合いに、サンタたちの心も癒されました。


 たくさん遊んで、たくさんお話を聞いて。

何も特別なことはできませんが、それでもみんな笑顔が輝いています。


 最後にサンタたちから、施設の子全員に、お菓子をプレゼント。

 中身はただのお菓子ですが、そこに私たちから「一緒にいてくれてありがとうね」「また来るからね」「また1年元気でいてね」というまごころをぎっしりと詰め込んでおきました。

 そんな気持ちが伝わったのか、施設を出るときには、子どもたちは施設の塀に鈴なり。

私たちが見えなくなるまでずっと手を振って見送ってくれました。

 訪問時間は1時間20分余りと短いものでしたが、それよりも少し長く感じられた笑顔の時間。


 施設の職員の方から伺ったお話ですが、私たちがバイクで訪問するにあたり、施設の職員の方が周辺にお住いの方々へ、『サンタライダーが来るので騒がしくなるかもしれません』と、お知らせに伺ったところ,「もうそんな季節になりましたか」、と笑顔で話されたのだそうです。


 地域の方からもサンタライダーは認知されている様子。


 さらに,施設長さんからは子どもたちも楽しみにしてるので、また来年も来てくださいと、ありがたいお言葉を頂戴しました。

 私たちも子どもたちから暖かい気持ちをたくさんいただいて本当に幸せ。

 来年は更に多くの仲間たちを集めて、子どもたちが大人を独占できる時間をもっとプレゼントできるようにしようと、意気込みを新たにした埼玉サンタライダーズでした。



それでもサンタはやってくる ~サンタライダーズ千葉開催~


「阻む」と書いてコロナとでも読もうか?

 今年のサンタライダーズ千葉は例年通り、旭町・成田市・いすみ市の児童養護施設と乳児院の計4カ所の訪問を予定していました。

一般からも参加者を募っての開催は実に3年ぶり。

 しかし、開催を目前に控えた1週前になり、千葉のいすみ、成田での交流訪問ができないことが確定してしまったのです。

これは各地の小学校で学級閉鎖が相次ぐ中、施設の子どもたちの学校でも陽性の子が増え、施設の中でも多くの子どもたちに陽性反応がでてしまったためです。


 それでも、私たちの心は決まっていました。


 『「サンタが万難を排してやってきた」という事実は、子どもたちの心に何かを残すはず。たとえ子どもたちとの直接交流ができなくても、「忘れてないよ」「みんなのところにちゃんと来たよ」という姿を見てもらおう!』と。


まごころを束ねていこう!


 朝7時30分、重寒い雲が朝日を遮る冬の千葉ポートタワー。

遠くは宮城、北海道からも集まったサンタたち。

 その足元の路面は、夜半の雨が渇く間もなく冷え冷えとしていますが、それでも「子どもたちのところに行ける」という期待がサンタたちの心を温めていました。

 事前の参加申し込みの段階で詳細な説明をしていましたが、出発前のブリーフィングでは「サンタの格好で目立つのが趣旨ではなく、子どもたちとの直接交流が一番のメイン。今回は多くの施設でそれは果たせないけれど、こんな時こそ約束を守る大人の姿を見せよう!」と代表の道家が改めて趣旨を説明。


「RUN FOR KIDS!」

 曇天に拳を突き上げて、サンタたちが志を一つに束ねます。

こうしていよいよ、14回目のサンタライダーズ千葉がスタートしました。


 サンタたちの一行は、最初の経由地である東金道の野呂パーキングエリアで休憩を終えた後、成田方面の「成田班」と、いすみ方面の「いすみ班」の2手に分かれ、それぞれのミッションに向かいます。


「愛された証」その1ページに(旭町・成田班のサンタたち)

 グレーにふさがれた空の下、成田班はまず、旭町にある施設を目指します。


 とにかく目立つサンタの一団、街の人々にささやかながら温かい気持ちをプレゼントしていくのも、私たちサンタライダーズの大切な役目です。

 サンタたちが道行く人々に手を振ると、対向車のご家族連れや、歩道を歩く子どもたちが興奮気味に手を振り返してくれます。

 また、途中の休憩では、「サンタさんだぁ!」と喜ぶお子さん方。

いたいけな子どもたちから見れば、私たちは紛れもないサンタですから、「メリークリスマス!」と声おかけながらお菓子をプレゼント。

「素敵な活動ですね、頑張ってください!」と握手を求める街の人の歓声に応えたり。

喜んでくださる街の笑顔に、冷たい風のことなどはいつの間にか忘れ、気が付けば空にも晴れ間が見られるようになっていました。


 そんな街の「温風」に心の芯を温められながら、サンタたちは最初の訪問先である旭町の施設に到着。

バイクの音を聞きつけて、子どもたちが次々に「家」から出てきました。

壁には大きく「学園へようこそ」と、歓迎の気持ちが手書きの文字で掲げられています。

 こちらの施設は今回の千葉サンタライダーズのなかで唯一、子どもたちとの直接交流ができた児童養護施設。

それだけにサンタたちは、子どもたちが元気でいてくれたことを心から喜んだのでした。


挨拶も早々に、子どもたち全員にお菓子をプレゼント。

 この時はまだ遠巻きにサンタたちを眺めていた子どもたち。

バイクの冷めたのを確認したサンタが「さぁどうぞ!」と声をかけると、子どもたちが、わっとバイクを取り囲みました。


 「僕はこれ乗りたい!」「こっちの方がカッコいい!」と積極的にバイクにまたがる子、乗りたそうにモジモジしている小さな子はそれにつられて、おっかなびっくりバイクにまたがります。

 サンタと子どもたちとの距離がだんだんと縮まっていくのが面白いところ。

小さい子にバイクはとても大きく、ハンドルに手をかけるのが精いっぱい。

それでも何とかハンドルを握ると、口角が大きくあげながらニぃーッといい笑顔を見せてくれました。

これに自信をつけたのか、子たちは、「あっちのバイクも」「こっちのバイクも」といろいろなバイクにまたがります。

こうして小さな冒険を楽しむ子どもたちにスマホを向けながら、担当のお兄さんお姉さん(※職員さんのこと)は、子どもたちのとびきりのビックスマイルをカメラに収めていました。


子どもたちの宝物

 施設の子どもたちには、一般の子どもたちよりも大事にしているものがあります。

それはアルバム。

 子どもたちが暮らす中では、信頼する担当職員が何度か変わっていくわけですが、それでもアルバムには、これまで多くの大人たちが自分の成長に関わってくれた記録が残されています。

 彼らのアルバムの中に毎年バイクのサンタがいて、年々大きくなっていく自分が写っている。

 私たちは何も特別なことはできませんが、こうして子どもたちの生きてきた証の1ページに加えられることは実に光栄なこと。年に一度ですが、継続的な活動で、しっかりと子どもたちを見守るのがサンタたちの役目です。


 子どもたちとの貴重な時間はあっという間に過ぎ、「また来るぞ」「元気でいてくれよ」と再会を約束しながら、子どもたちに見送られて施設を後にしたサンタたち。


 次の訪問地である成田市の児童養護施設を目指します。


太陽を呼び込もう(成田市の施設へ)

 子どもたちと過ごしている時間には明るさを取り戻した空でしたが、成田へ向かう空は雪雲にも似て重々しく、やがて大粒の雨を降らせました。

 ついにはそれがパラパラと白い霰(あられ)となってサンタたちを驚かせましたが、それでも私たちは成田へひた走ります。

 向かう成田の施設では、子どもたちの通う学校で多数の陽性者が出たことから、入所児童も施設から出られない状態。


 先ほどとは違い、私たちの代表だけが施設に入り、「置き配サンタ」となることをいささか残念に思いながらの到着でした。

 しかし、いざ到着してみると、中高生のお部屋から幾人かの女の子たちが猛烈に手を振ってくれてるのが見えるではありませんか。

 この元気な姿がとても嬉しくて、「やぁ来たよ、ちゃんと会えなくてごめんね」そんな気持ちで手を振り返します。


 空は相変わらずバラバラと冷たい雨。

 出迎えてくださった施設長さんが、「こんな雨ですので皆さん中へお入りください」と玄関先までご案内くださいました。

 プレゼントや寄付金をお渡しして記念撮影。

「子どもたちも楽しみにしているので、是非また来てください」と笑顔でお見送りをされる施設長さんに、「来年こそは、子どもたちとたくさん遊べるようにします。」とお約束をして施設を後にしました。

 驚いたことに、施設を出るころには、あれだけ冷たい雨を降らせていた空もぴたりと黙り、雲に切れ目から光がさしていました。

施設隣接の教会前にて、イエス様のご加護をいただけたのか、空が明るくなりました。


 「やまない雨はない」

そんな言葉を思い出しながら、子どもたちがまたいつも通り元気で過ごせるように、『来年はきっと太陽を呼び込むぞ』と思ったサンタたちです。


サンタの目にも涙 (いすみ班のサンタたち)

 一方そのころ、野呂パーキングエリアで分れたいすみ組は、14年間欠かさず訪問を続けている児童養護施設と、同市内にある乳児院を目指していました。


 成田班と同様に、道すがらの人々に手を振れば、対向車や沿道から大手を振って笑顔を返してくださる方が多く、街の皆さんのお姿が本当に励みになります。

 こちらでもやはり、雨に打たれることがありましたが、街の声援は百人力。

こうして街のの人々を笑顔にしながら、いすみ市の乳児院に到着です。

 乳児院は、様々な事情によって家庭で養育されなくなってしまった0~2歳までの赤ちゃんが暮らす施設。

 バイクの音で赤ちゃんや幼児さんたちを驚かせないよう、こちらには人数をわずかに限って訪問しました。


 代表の道家が寄付をお渡ししているのは、これまで私たちの活動を14年間支えてきてくださった千葉県児童福祉施設協議会理事の森田雄司さん。

実はこの乳児院の施設長さんでもあらせられます。

 他の施設同様、やはり直接の交流はできないものの、それを見守るかのように、窓から手を振る幼児さんたちは実に可愛らしく、サンタたちは大きく手を振って応えました。

 こちらでは、代表の道家から森田さんにプレゼントを贈り、次の児童養護施設に向かいます。


あの丘へ向かおう!

 いすみの児童養護施設はこの乳児院のすぐ近く。

海を見下ろす丘の上にあるので、我々は「丘の上」と呼んでいるのですが、

今回はコロナに阻まれ、いつものように丘の上にあがることはできません。

 それでも何とかサンタの姿を子どもたちに見せようと、私たちが丘の下にたどり着いてみると…。


「サンタさぁ~ん!!」

聞こえてきたのは子どもたちの元気な声。

思わず見上げた丘の上では、子どもたちがすずなりになって叫んでいます。

「サンタさーん、何で上がってこないなぉ?!」

「サンタさんこち来てぇ!!」

中には、「サンタさんがこれないなら僕がいくぅ!」と坂を下りかけて職員のお兄さんに止められる場面も。

いくに行けない状況。

こんな姿を観たら、サンタたちはもうたまりません。

「あぁ来たよぉ!」

「みんないい子でいたなぁ!」

「ちゃんと行けなくてごめんなぁ!」

「こんなふうだけど、みんなのお顔が見れてうれしいぞぉ!」

こうしてしばらく、丘の上の下で声を掛け合いながらの交流が続き、子どもたちへの愛おしさを募らせるサンタたち。

 精いっぱいの手を振り返すサンタたちの目には涙があふれていました。


 恐らく14年間のサンタライダーズの歴史の中で、最も切なく、そして最も「絆」を感じた訪問だったと思います。


 このあと、職員の方に子どもたちへのお菓子と寄付をお贈りしてこちらの訪問は終了。

子どもたちとの再会を約束し、施設を後にしたサンタたちでした。


海辺の街の風物詩

 丘の上の子どもたちの姿を目に焼き付けて、サンタたちは毎年ランチで訪れているレストランに移動。

 余韻を胸に抱きながら海辺の風に吹かれていると、そこに小学生くらいの女の子を連れたお母さんがやってきて、嬉しそうに私たちに話しかけてくださいました。


「実は私、7年前までこのレストランに勤めていて、毎年サンタのライダーさんたちが来るのを楽しみにしていたんです。今日はサンタさんを娘に見せたくて連れてきました。」

私たちの姿を見て、そのお母さんもお嬢さんもとってもうれしそう。

ニコニコのお嬢さんの笑顔にサンタたちも癒されます。


 さらにお母さんの話は続きます。

「この地域にお住いの皆さんは、クリスマスが近づくとサンタのバイクが施設にやってくるのを知っていて、皆さんの活動を応援しているんですよ。」


 これまで地元の方と直接お話する機会はあまりなかったのですが、14年間のうちに地元の方々にとっての「風物詩」として楽しみにされていたとは、なんとも光栄なお話です。


サンタは世のため人のため

 こうして成田班・いすみ班はそれぞれの地域のミッションを終えたサンタたちは、再び千葉ポートタワーに集結。


こちらでは、児童虐待防止のパンフレットなどを配布し、現地で憩の時間を過ごす人々に、緊急通報ダイアル189(イチハヤク)の啓もう活動を行いました。


 今回はこの啓もう活動に加え、私たちの活動をサポートしてくださっている「丸ごみジャパン」の活動に協力し、ポートタワー周辺のゴミ拾いも行いました。

 今年カタールで行われたサッカーワールドカップで、試合後にスタジアムのごみを拾うサポーターの姿が世界的に話題になったのは記憶に新しいところ。

 実は現地のスタジアムで行われたあのゴミ拾いは「丸ごみジャパン」による活動だったのです。

 彼らは東日本大震災の復興支援と、美化活動による社会貢献を行う団体。

ワールドカップでは丸ごみ活動の他、被災地域の子どもたちをスタジアムに招待する活動も行っていました。

 私たちはこれまでも、海岸や公園などで「丸ごみ」の活動に加わってきましたが、サンタとして私たちがこの活動に加わるのは今回が初。

 サンタたちはポートタワー周辺の浜辺に打ち上げられたプラスチックごみや、無造作に捨てられていた紙ごみなどを集め、ポートタワーの美化にも貢献しました。


 この後は恒例の記念撮影。