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RIDE189オレンジバイカーズアクション宮城を開催

更新日:2022年9月26日

私たちが走る理由(わけ)

未曾有の震災に見舞われた11年前の春。

当時、震災の凄惨な状況を悼む声と同時に、日本の至るところから聞こえてきた言葉がありました。

それは「今、自分にできることは何か?」と深く自問する言葉。

 誰かが困窮している状況を見聞きした時、人の心は「その状況改善にむけて貢献しなければ」という意識とも無意識ともつかぬ衝動に突き動かされることを、あの時多くの人が体感したのではないでしょうか。

 時は流れ、相次いで起こる自然災害に加え、世界を闇に覆うコロナ禍や隣国西端での戦闘。

 相変わらず混沌とした世界の中にあって我が国日本では、児童虐待がその発生件数の記録を毎年更新し、日夜を問わず小さな心達が、人知れず近親者からの攻撃にさらされています。

 なおも増え続ける児童虐待は喫緊の社会問題。

 ことさら宮城県内においては、震災に端を発する児童虐待もあり、コロナ禍が問題を一層深刻にしている現状があります。


出展元;宮城県「令和2年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数について(速報値)」https://www.pref.miyagi.jp/documents/15102/868361.pdf

『バイク乗りとして、そのためにできることがあるなら、力になりたい』

オレンジバイカーズアクションは、ライダー達がその想いを形にして、児童虐待防止への関心を市民に促していくソーシャル・ツーリング・アクションです。

 しかし、バイクといえば、十把一絡げに「社会悪」として人々の記憶の片隅に追いやられがちな存在であるが故、「バイクは人のためになる」と市民に認知されるまでの道のりは冒険に等しいのかもしれません。

 それでも、否、だからこそ私たちは、気持ちをひとつにして、宮城へ走りだします。


RUN FOR KIDS!(子どもたちのために走るんだ!)と



宮城で初の「オレンジバイカーズアクション」

 2022年9月4日、日曜日の朝の宮城県庁の本庁舎前に、ライダー達が次々と集まってきました。



 バイクのナンバーを見ると、地元近県のナンバーもあれば、関東圏のナンバーも多数見受けられます。

 その数総勢70名。

「RIDE189 TOURING RALLY オレンジバイカーズアクション宮城」に参加するライダーたち。



 この日、オレンジバイカーたちは宮城県庁をスタートし、「ゆりあげ港朝市」、「三井アウトレットパーク仙台港」といった県内有数の商業スポットを巡りながら、各地で児童虐待緊急通報ダイアル189の啓蒙活動を行います。


セレモニーには、宮城県副知事もご臨席

 前日から降り続いた雨も上がり、次第に明るくなっていく空。

参加者たちの表情も晴れ晴れとしていく中、県庁本庁舎エントランス前では出発式が行われ、ピースメーカー宮城支部の鬼澤脩平支部長が開会を宣言しました。

その表情には、およそ1年間に渡る準備がいよいよ実りを迎える歓びと、閉会までの責任感が漲ります。


これに続くご来賓の方々のご挨拶には、ご協力ご共催いただいている宮城県の池田敬之副知事が登壇され、ライダー達を歓迎しながら、次のように述べられました。


 「この活動を児童虐待防止の気運向上につなげ、宮城の食や景観を楽しみながら復興を感じていただきたい。」

 これまで復興支援ツーリングを行いながら、街の復興ぶりを毎年実感してきた私たち。

 「復興」の2文字に託された、重厚な意味を感じながら、池田副知事のお言葉を拝聴しました。


続いて、宮城県議会議長の菊地恵一様からも開催に際してのご祝辞をいただき、

「みなさん!ちょっと後ろを振り返ってみてください。  宮城は今年県ができて150年目を迎えます。 その歴史が育んだ杜の都仙台の緑をバックに、このようにたくさんのバイクが集まってくださったこの光景、本当に喜ばしく思います。

 バイクの持つアピール力で、多くの市民の方々に児童虐待防止を啓発していただきたいと思います」。

と、さわやかな笑顔でオレンジバイカーズたちに期待するお気持ちを述べられました。

「バイクが児童虐待を訴えて走る」という画期的なソーシャルアクション。

その意義をしっかりと捉えてお話くださったことに、私たちからも感謝を申し上げたいと思います。


 続く主催者あいさつ。

 直前まで降り続いた雨に、参加者の安全を心配したピースメーカー代表の道家尚巳でしたが、開会式では雨雲も遠のくに至り、宮城初のオレンジバイカーズアクションを晴れやかな気持ちで開催できることを参加者とともに喜びました。


 自身も過去に単身赴任で宮城に住んでいたこともあるという道家代表。

 自らが提唱し、多くの仲間たちと育んできたオレンジバイカーズが、多方面の方々の様々なご縁をいただき、愛する宮城の地での開催される歓びは一際であったと言います。


 そして今回は、これまで私たちと共に14年間、千葉県で「ピースメーカー」を育ててきてくださった千葉県児童福祉施設協議会理事の森田雄司さんも、はるばる千葉から宮城に駆けつけてくださり、私たちの活動にいつもご協力いただいている同協議会の本間敏子会長から託されたご祝辞をご代読されました。

 お手紙は、千葉で14年間続く私たちピースメーカーと児童福祉施設との交流を振り返るとともに、千葉から生まれた活動が他県に広がったことをお慶びになりながら、児童虐待根絶への願いが込められた内容。


 宮城での開催に至る経緯やその意義がまとめられたお手紙のご代読を拝聴し、参加者たち各々の気持ちが一様に引き締まります。


オレンジバイカーズの意義

 振り返れば2009年12月、メンバー全員がサンタクロースになりきって訪問した千葉の児童養護施設。

 そこで出逢ったのは屈託のない子どもたちの笑顔たちでした。

 しかし、その小さな心には、児童虐待で受けた悲しみが宿っていることを知り、私たちは大変なショックを受けたのです。

 そんな折、千葉県の児童福祉行政の方から「バイクの機動性を活かしたPR活動を」というオファーをいただき、2015年に千葉でスタートしたのがオレンジバイカーズです。


 オレンジビブスを着用して走行する多勢のライダー達。


 バイクの目立ちやすさを利用したこの走行は、街中に潜む加虐待の親たちに、自身が行う問題行為の自制を促す警ら的な意味を持ちます。

 加えてバイクの優れた機動性を活かせば、児童虐待啓発グッズの配布なども、複数の場所で行うことができ、PR力も抜群。

 こうして行われるオレンジバイカーズ活動は、児童虐待緊急通報ダイアル189(イチハヤク)の広範な広報活動として、毎年11月の児童虐待防止強化月間に千葉県・千葉市の家庭児童部局などと連携した公式PR活動として開催され、現在も活動を継続しいます。

千葉市庁舎での出発式で参加者に講和をされる森田さん。(2019年撮影)

 

 こうして、千葉で長年実績を積んできたオレンジバイカーズアクションが、宮城県の皆様に迎えられ、共に育ててくださった森田さんに見守られながら、宮城県庁でのスタートを迎えることを実に深い感慨を覚えました。





 スタート前は、千葉では恒例となっている「RUN FOR KIDS!」の勝どき。


 今回、この掛け声が初めて、杜の都に響き渡たりました。


 いよいよ、オレンジバイカーズが、宮城県庁をスタート。

 児童虐待に苦しむ子どもたちのために走しりはじめます。


ゆりあげ港朝市に189を届ける

 仙台は、道幅も広く走りやすく、緑との調和のとれた景観が楽しめる街です。

 海岸方面にハンドルを向けてしばらく走ればだんだんと、空が開けていくのがわかりました。

 そんな風景の流れを楽しみながら一行は、県庁から30分ほど南に走ったところにある「ゆりあげ港朝市」に到着。

 日曜日のお昼前、店先には新鮮な海産物などがおいしそうに並べられ、浜焼きなどでこれを楽しむご家族連れなどでにぎわっています。


 ゆりあげ港朝市は、海に面したの港の市場。

 この活気を目にして思い出されたのが、「宮城の復興した姿をぜひ見てほしい」という池田副知事のお話。


 賑わう風景から、復興にご尽力された街の人々の力を感じ、「がんばれよ」と背中を押される気持ちになりました。


 ゆりあげ港市場にに参加者たちは順次各々に受付を済ませ、朝市のお買い物を楽しんでおられる市民の皆様に声をかけ始めます。


※こちらの受付でも参加者の手指消毒を必須とし、パンフレット配布の際は手袋の着用を義務付けました。


 活動を始めてみて驚いたのは、私たちの声掛けに対し、しっかりと耳を傾けながら189の啓もうパンフレットを受け取ってくださる市民の方が多かったこと。

 中にはオレンジビブスを着ている私たちに歩み寄り、

「あなたたち、とっても良いことしているわねぇ、来年も来るの? なら、市場はもっと早い方が賑わっているから、次は早く来た方がいいわ。 もっとたくさんの人にこの番号(189)のお知らせができるわよ!」

と、私たちの活動に非常に感心しながらお声掛けくださった年配の女性の方もいらっしゃいました。


 また、立ち並ぶお店の店先を歩くと、

 「あのオレンジのバイクの人たちは何しにきたのかね?」

と、お客様とお店の方が噂をしておられるのが2・3耳に入ってきます。

 そこで、パンフレットをもってお店を周りながら、



 「児童虐待防止について興味を持っていただく活動をしていますので、よろしくお願いいたします!」

などと、ご挨拶をしながらまわってみると、お忙しい中にも拘わらず、大抵のお店のご主人やおかみさんが手を止めて、関心をもって聞き入れてくださいました。

 宮城では初回となるオレンジバイカーズ活動。

 はじめの一歩となったゆりあげ港朝市では、こうして市民の方々の暖かさに支えられ、一方通行な告知ではない手ごたえを感じることができたのでした。


ゆりあげ港朝市名物「はらこ飯」

 こちらでの配布予定枚数の啓蒙パンフレットを配布し終えた参加者たちは、ゆりあげ港朝市の美味しさで満腹に。


ここでの活動を終え、次なる活動場所、仙台有数の規模を誇る商業施設、「三井アウトレットパーク仙台港」に向かいます。





三井アウトレットパーク仙台港での活動

 ゆりあげ港朝市から現地までは沿岸にかさ上げされた復興道路をひた走るのですが、その復興道路の左下には、かさ上げ前の旧道があり、暫くこれと並走することになります。


 左側に見える旧道と復興道路とは高さの違いが相当にあるのですが、これは、いざというというときのためにこの復興道路に持たされている防波堤の役目。

 この高低差はこの風景に至る街の記憶と、復興の力を想像させてくれるものです。


 こうして走ること約20分、三井アウトレットパーク仙台港では、ゆりあげから既に先行して移動したスタッフたちがゲートや受付テントの設営を手際よく終えていて、配置に着いたスタッフの誘導に従って、参加者たちが順序良く入場することができました。


 いよいよ本日2ラウンド目のオレンジ活動の開始です。

 ゆったりとした港の風がそよぐ中、中高年の方々が多かったゆりあげ港朝市とは違い、こちらははるかに規模の大きい商業施設。

 ファミリー客だけでなく、カップルや若い女性各の姿が多く見受けられ、客層の幅広さが感じられます。

 そのせいもあってか、我々の声掛けを避けるように、パンフレットを受け取ることなく足早に立ち去る方も少なからず。

 そんな時は、宮城県のイメージキャラクターである「むすび丸」が文字通りの助太刀をしてくれます。


 愛らしくも凛々しいフォルムがファミリーや女性客を集め、写真撮影などをきっかけに、若い方でも189の啓もうに耳を傾けてくれるのです。

 既に広大な敷地に拡散している参加者たちも、PRをするのに効率の良い場所や声掛けの方法についてお互いに相談し合いながら工夫を重ね、お買い物